アンケートへの質問に答えちゃいます☆
 全法労協が実施した2004年アンケートには,質問や意見が寄せられました。いくつかの点に絞って,全法労協幹事会の見解を発表します。
有給休暇がないので休みが取れません。残業をしても残業手当を支払ってもらえません。
労働条件をよくするために交渉したいのですが,どうしたらいいでしょうか。
 有給休暇や残業手当などは労働基準法で最低限の日数や支給率が定められています。したがって,職場(事務所)に休暇や残業手当について規則がなくても,雇用主に請求すれば,自由に休めますし,残業手当も支払ってもらえます。もし雇用主がそれを拒否するようであれば,労基法違反ですから最寄りの労働基準監督署に申告することができます。申告すれば労基署は調査のうえ雇用主に是正勧告を行ってくれます。と言っても,雇用主と労働者でお互いによく話合ってル−ルを取り決めたほうが気持ちよく仕事ができます。使用者に交渉(話し合い)を求めてもそれに応じない場合は,職場に労働組合を作るか,あるいは法律関連業種のような少人数の職種の労働者が集まって作っている労働組合がありますからそこに加入して,使用者に対し組合から交渉を求めるのがいいと思います。これは労働組合の団体交渉権として憲法で保障されており,組合からの団体交渉申入れを使用者は拒否することができません。全法労協では,労働組合を作りたい,あるいは労働組合に入りたいという相談にいつでものります。気軽に連絡ください。

全法労協のアンケートにいつも協力しているのですが,これはどのように利用されているのでしょうか? アンケートをやってもあまり私たちの職場が改善されるとは思えないのですが・・・

 アンケートにご協力ありがとうございます。 アンケート結果やアンケートに寄せられた声はホームページに紹介したりするだけでなく,この結果をもとに要請書を作り,日本弁護士連合会や日本税理士会連合会などの関係諸団体ならびに最高裁判所などの関係官庁に対し要請行動をおこなっています。今年も5月17日に第一回の要請行動を行いました。その結果,これまでに日弁連や日本弁理士会では各単位会や会員に対し,労働基準法などの諸法規の遵守,社会保険加入や退職金制度など労働条件の改善などを周知徹底する文書を送付したり,会の機関誌に紹介したりするなど改善の取組みを行っています。 また厚生労働省に対して,まだ労働法規遵守について取り組みを行っていない団体に対して指導を行うよう要請もおこないました。全法労協に加盟している各労組では各地域の関係業種団体に対して要請行動をおこなっています。いくつかの弁護士会では「雇用マニュアル」を作成したり,「セクハラ防止規則」を作るなど具体的な取組みもすすめられています。 全法労協では,もっと多くの働く仲間の声を集めて,これからも関係業種団体や関係官庁に対し,法律司法関連職場を安心して生き生きと働ける職場にしていくために働きかけていきたいと考えています。みなさんのご協力をお願いします。

弁護士の自宅の掃除を断ったために,『辞めてもらいたい』と言われました。
私は辞めなくてはならないのでしょうか?


 あなたは,辞める必要はありません。労働基準法第9条には「この法律で「労働者」とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所(以下,「事業」という。)に使用されるもので,賃金を支払われる者をいう。」と定義しています。弁護士の自宅の掃除は「事業」とはなんの関係もありません。従って,労働契約=雇用関係における労働提供義務は発生しません。これは,公私混同ということになります。規模の小さい法律事務所のような職場では発生しやすい問題だけに,優位にある雇用者(弁護士)が公私混同を避ける事は,良好な職場環境作りの第一歩ではないでしょうか。
また,雇用契約書を作成する事は法律の専門家である弁護士さんにとって,「公私混同をしてはいけない」ことなど,自らの職場再点検の良い機会にもなるのではないでしょうか。自宅の掃除を断わったことで,手当の減額や無支給,ボーナスの大幅減額,固定給なのに1日の病休に1日分の賃金カットなど辛い思いをされているようですね。こんな「弁護士が就業規則だ」というような態度は許されません。労働条件の切下げは就業規則の変更,労働組合との労働協約の締結,または個々の労働者の同意が必要です。これらの手続によらない一方的な労働条件切下げは無効です。ぜひ,労働組合と相談して,弁護士と話し合いの場を持つようにしてください。近くに労働組合がない場合は全法労協までお問合せください。

法律関連職場はなぜ社会保険に未加入の職場が多いのですか? 

 社会保険というのは事業所単位で従業員が加入する健康保険と厚生年金保険のことです。会社員等の一般の勤労者は,通常は社会保険事務所で手続きをして,政府管掌の健康保険と厚生年金保険に加入しているのが普通です。現在,法人とそれから法人でなくとも法律で定める一定の業種で5人以上の従業員を雇っている事業所は,「強制適用事業所」といい,従業員を社会保険に加入させなければならないことになっているからです。ところが,法律関連業種は法人でない事業所が多く,また強制適用となる業種には,サービス業は除かれているために法律事務所等の法律関連事務所も適用業種から除かれているのです。それでこの業種では社会保険に未加入の事業所が多いのです。

 制度を変えて何とか強制適用にできないのでしょうか?全法労協では,毎年厚生労働省に対し,このような差別的取り扱いを止めるよう要請しています。それに対し,厚生労働省側の回答は,非法人のサ−ビス業事業所は家族経営や小規模で労働者の移動が激しい事業所が多く,また加入のために必要な労働者名簿,就業規則,賃金台帳等の書類や帳簿が整備されていないこと,実際の営業場所の把握や移転等の祭の追跡が困難なこと等を強制適用にできない根拠としてあげてきています。私たちは,サービス業も含め労働保険は強制適用となっており,上記の理由は根拠がないことを指摘しつつ,少なくとも法律・司法関連業種については,必ず登録の上営業を行っており,社会的にも一定の信頼を得ている業種であるから上記の指摘はあたらない旨を説明し,その点については厚生労働省側も一応認めてきておりますが,現在のところ法律・司法関連の特定業種のみを適用拡大することはできないとの立場を変えておりません。1985年12月18日に衆議院社会労働委員会で「非適用業種及び5人未満の事業所の厚生年金についての業種の拡大及び任意包括適用制度の計画的推進につき検討し,必要な措置を講ずること」との付帯決議もあり,社会保険の保険料徴収に行き詰まりのある中で,強制適用化の障害が極めて少ない法律・司法関連業種の適用拡大を検討しないのは行政の怠慢であるともいえます。私たちは引き続き強制適用化を目指し運動を進めて行きます。

本当に社会保険の方が必ず有利なのですか?

 健康保険については,国民健康保険との比較では給付は産休や病気休業の際にかなり有利な面があります。政府管掌の健康保険の場合,産休の際の出産手当金と病気休業の際の傷病手当金がそれぞれ標準報酬日額の6割支給されます。国民健康保険にはこのような給付がありませんから休業の際には全く無収入になってしまう可能性があります。また厚生年金も現行の制度では,厚生年金の被保険者は国民年金の2号被保険者として扱われており,国民年金分の基礎年金の上に収入に応じた年金保険料を上乗せする(いわゆる2階建て制度)形になっています。しかも事業主の保険料負担部分もありますので,将来の給付の額は基本的には国民年金よりも高くなると考えられます。ただ年金制度は相次ぐ改悪で先行きの不安な制度となっているのも間違いありませんし,今後どのような制度になるかも不明確です。社会保険に加入すれば,国民健康保険と国民年金の場合に比べて実際に収める保険料はかなり高くなりますので,現在の給与の額や今後のライフスタイル等によっては残念ながら必ずしも社会保険が有利とはいえない場合もあると思われます。ただそのようなケースはかなり例外的なものと思われますし,また改悪を許さず,よりよい制度に変えて行くことも併せて考えて行きたいものです。

雇用主にはなかなか社会保険に加入して欲しいと言えません。
日弁連等で強力に指導できないのですか?


 全法労協の要請を受ける形で,日弁連会長名で各単位弁護士会宛に事務職員の労働条件改善等についての要望の文書が出されており,各単位弁護士会は会員向けにやはり文書が出されております。ただ,社会保険については,現行制度が強制適用ではありませんので,それ以上の「指導」的なものを弁護士会に望むのは無理があります。個々の職場で「社会保険に加入したい」との意思をきちんと伝え,実現して行くことが加入のために最も重要なことですし,そのような一つ一つの実績が,この業種での加入率を高め,結果として社会的な認識も変える一歩になるのだとも言えます。ぜひ勇気を出して声を上げてください。


現行の制度の下で社会保険に入るのにはどうすればよいのですか?

 強制適用にあたらない事業所でも,従業員の2分の1以上の同意を得て事業主が申請すれば,都道府県知事の認可を受けて適用事業所となることができる制度があり,これを任意包括適用といいます。 このようにして適用事業所として認められれば,任意適用であっても,強制適用であってもなんら区別されません。この任意適用事業所の認可の基準については,社会保険事務所によって窓口の扱いにも多少の違いがありますが,現在では,事務員の雇用関係や事務所としての継続性等を証明する最低限の書類を準備するだけで,ほとんどの法律・事務所が任意適用事業所となることが可能です。 社会保険の強制適用からはずされている業種は,国から経営が不安定で社会保険料の徴収も困難であるとされ,ある意味ではまともな経営体としての評価を受けていないわけです。逆に言えば社会保険に加入することは,まともな職場としての基本とも言えます。医療保険制度や年金制度の改悪が続き,社会保険料の負担は重く,加入のメリットは少なくなっていますが,産休や病気休業の際の給付や将来受け取る年金の額などを比較すると,国民健康保険や国民年金との比較ではまだまだ有利な面もあります。加入を希望する場合には,ぜひ事業主に社会保険に入りたいと堂々と主張して下さい。

任意包括適用で社会保険に加入するために具体的に必要な書類はどんなものですか?

加入手続きに必要な書類は,社会保険事務所に用意してある提出用の届出用紙の他は,概ね下記の様な書類・帳簿の提示を求められます。@出勤簿,A労働者名簿,B賃金台帳,C事業所の存在と継続に関する証明書類
ただし個人事務所では,@やAはないことも多いと思われますので最低限Bの賃金台帳を準備してください(保険料の算出のためには賃金額の証明が必要となります)。Cの証明書は法律事務所の場合には弁護士会の証明書(他の業種についても業種団体の登録証明)でかまいません。 これらの加入手続きの簡素化については,全法労協では,強制適用化と併せて毎年厚生労働省と交渉しており,確認してきています。今年の要請でも,
(1) 基本的には@事業所(事務所)の存在証明,A従業員(被保険者)への賃金の支払額の証明,の2点が証明できればよい。(2) 事業所の存在証明については,業種団体(法律事務所であれば弁護士会)の事務所の証明書でかまわない。(3) 賃金の支払いについては,賃金台帳が最も望ましい。他のものだと複合的な証明をお願いするかも知れないが,賃金台帳があればそれだけで可。との回答を得ております。つまり弁護士会等の事務所の証明書と,賃金台帳を用意すれば社会保険への加入ができる旨確約を得ており,社会保険事務所で上記と異なった対応があれば直接社会保険庁から当該の社会保険事務所を指導する旨も併せて回答も得ております。
もし社会保険事務所で異なる対応を受けた場合にはご遠慮なく全法労協やお近くの加盟労働組合にご相談下さい!