弁護士補助職(パラリーガル)って、な〜に?
いま、法律事務職員「制度」が熱く議論されているんです☆
2006年4月
「法律事務所事務職員の能力認定制度に関する基本方針」に対する見解
法律事務員全国連絡会
全国法律関連労組連絡協議会
1 はじめに
2006年3月、日弁連理事会で「法律事務所事務職員の能力認定制度に関する基本方針」(以下「基本方針」と言う)が承認されました。
私たちは、日弁連が今般、弁護士業務における法律事務職員のあり方・位置づけについて議論し、制度確立をめざす方針を決められたことを歓迎するものです。
私たちは全国の法律事務員の事務員会や労働組合から組織される法律事務員全国連絡会(以下、法全連と言う)と、法律関連の職場で組織される労働組合により構成される全国法律関連労組連絡協議会(以下、全法労協と言う)です。
私たちは2000年より、「全国統一研修制度の創設」等を求める署名に取り組み、25000名余りの署名を日弁連に届けました。これに対し、日弁連会長から、2003年11月17日、「法律事務所事務員『全国統一研修制度』については、将来的にこれを設ける方向とし、具体的な制度設計はパラリーガル認定制度についての会内議論をふまえて検討を続けることとしつつ、当面、部分的にでも研修のモデル・カリキュラムを作成する等して全国的な研修レベルの引き上げを図る。」との回答が出されています。
私たちは、今回の「基本方針」を、こうした日弁連会長からの回答の延長線上のものとして、「全国統一研修制度」の実現に向けた第一歩であり、さらには、そこにとどまらない法律事務員を巡る「制度」整備の一環として積極的に受けとめています。
そうした立場を踏まえて、私たちの見解を明らかにするものです。
2 「基本方針」に対する評価
今回の「基本方針」では、この制度の必要性について「弁護士業務の改革は、社会の多様化、迅速化、高度化に伴い社会からも強く求められているところである。そのため弁護士の執務体制の強化、専門性の強化、活動領域の拡大、弁護士へのアクセス拡充等の改革が求められている。こうした改革を推し進めるためには、弁護士の職務を補助する事務職員の育成が重要課題」であるとして、「そのためには、一定のカリキュラムに則った効果的な研修」を「全国すべての事務職員に対して実施」することが必要であるとしています。
そのうえで能力認定制度は、「事務職員に対して、目標となる能力レベルを示して研修意欲を喚起し」「事務職員に専門的職務従事者としての矜持を与えるもので」「この制度創設によって、有能な事務職員を組織的に養成する」としています。
司法改革はその骨格がほぼ完成し、実現段階に入っていますが、その司法改革の中で残る数少ない課題が「弁護士(法律事務所)の業務能力の強化」と言われています。市民にとって法律事務所は「司法」を体感する最前線です。そこにおいて市民へ良質のリーガルサービスが供給されることこそが司法改革の主要テーマである「身近で頼りがいがある」という国民の司法への信頼感の土台を築くのであり、その意味で弁護士そして法律事務所は「司法への信頼の表玄関」とでも呼ぶべき存在だと考えます。「敷居が高い」と言われる弁護士への「アクセス障害」解消なども含め、より市民に「身近で頼りがいのある」弁護士そして法律事務所が望まれています。
法律事務所は、弁護士のみによって構成・運営されるものではありません。上記のような市民の要望に応えうるリーガルサービスの提供の人的基盤として法律事務職員と弁護士がそれぞれの「パートナー」として存在し、お互いの「チームワーク」によって構成されるべきものであり、このことについては日弁連が2003年11月に開催した「業務改革シンポジウム」のテーマとして強調された通りです。
私たちはこの「要望される法律事務所像を構成する人的基盤」として相応しい法律事務職員が私たちのめざす「事務員像」であると考えます。具体的には、依頼者と弁護士が紛争解決を行っていく上での生命線ともいえる「率直な情報交換」をスムーズにする「橋渡し」としての存在であり、また、実務的には弁護士の判断と監督の下、実務経験と確立した研修により「手続の専門家」としてその能力と感性を研鑚し、弁護士の事件処理を円滑に進める存在と考えています。私たちは、そうした「事務員像」を正確に捉え、そのために必要な制度を確立し、環境を整備していくことが、「法律事務所改革」の重要な柱のひとつであると考えてきました。
具体的にはこれまで
(1) 「全国統一研修制度」の確立によって、全国どこの法律事務所においても「身近で頼りがいのある法律事務所」の欠かせない「パートナー」としての、一定水準以上の能力(業務能力・一定の法的知識・倫理観の保持)を持った事務職員をつくり出すこと
(2) そうした頼りがいのある「パートナー」として相応しい、労働条件等の処遇の改善
が必要であると考え、その立場から日弁連にも要請を行ってきました。
「基本方針」が「日弁連は、法律事務所の事務職員に対し、実務及び倫理の研修ならびにその能力判定試験を実施する」としていることは、その実現、なかんずく研修制度確立にむけた第一歩として私たちは積極的に受けとめるものです。
3 よりよい制度を作っていくために
「基本方針」は「日弁連は本制度の創設をめざし、研修及び能力判定試験の内容の具体的検討」をすすめるとしていますが、その具体的検討にあたっては研修カリキュラムや講義要綱作成などについて法律事務職員と協議しながらすすめていくことが、この制度をよりよいものにしていくために不可欠であると考えます。
2000年に実施された日弁連・法律事務所実態調査では10年前(90年)と比べて勤続3年未満の職員が42%から31%と減る一方、勤続7年以上の職員が23%から35%に増加しています。少しずつではあっても、法律事務という「職」が社会的にも認知され、この仕事に魅力を感じ、一生の仕事として向き合おうとする多くの法律事務員が生まれています。
そうした事務職員の能力向上を図るため、現在、多くの地域で弁護士会との共同を含めた形で業務研修が取り組まれており、多くの仲間が参加しています。東京、大阪では弁護士会が実施する研修のカリキュラムの策定委員及び講師として多くの事務員が参加し、毎回多くの幅広い層の事務員が研修に参加しています。
私たちは、これを一部の地域にとどめることなく全国的なものとしていくために「法律事務職員全国研修センター」を設立し、日弁連における議論と制度確立の方針に応えられるよう取組んでいるところです。
全国の「法律事務職員」が意識の上でも、また実際の取り組みの中でも自らの仕事に対し「誇り」を持ち、「成長」したいと考え、行動しています。
今回の「基本方針」は、基本的に私たちの意見が反映されたものであると考えております。
日弁連におかれては、本制度の具体化にあたって引続き法律事務職員の声を聞き、共同して取り組んでいただくことを要望するものです。
とりわけ研修カリキュラムや講義要綱などについては事務職員と協議する場を設けることが、ぜひとも必要であると考えるものです。
以上
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☆2006年5月15日に行われた、日弁連補助職制度小委員会の委員と、全法労協・法全連・法律事務職員全国研修センターとの懇談の模様は全法労協だより第58号の記事をお読み下さい!
コチラからダウンロードしてください⇒PDF版 WORD版
日弁連「弁護士補助職認定制度の提言」に対する見解
⇒PDF形式全文
2005年12月
日弁連「弁護士補助職認定制度の提言」に対する見解
法律事務員全国連絡会
全国法律関連労組連絡協議会
1 はじめに
2004年12月14日、日本弁護士連合会(以下、日弁連という)より新たな「パラリーガル認定制度創設に関する提言」並びに「パラリーガル認定制度規則(別紙 パラリーガル倫理規程含む)」、「パラリーガル認定制度細則」が公表され、併せてパラリーガル認定制度についての説明として「パラリーガルQ&A」も発表されました。
その後、この提言は単位会の意見などもふまえて本年5月にパラリーガルの名称を「弁護士補助職」に変更するなど若干の修正をおこない、「弁護士補助職認定制度創設に関する提言」(以下「提言」という)として現在日弁連において審議されています。
私たちは全国の法律事務員の事務員会や労働組合から組織される法律事務員全国連絡会(以下、法全連と言う)と、法律関連の職場で組織される労働組合により構成される全国法律関連労組連絡協議会(以下、全法労協と言う)です。
私たちは、日弁連が今般、「提言」を発表するなど、弁護士業務の中における法律事務職員のあり方・位置づけを見直し、制度として確立しようとする努力に心から敬意を表します。
私たちは2000年より、「全国統一研修制度の創設」等を求める署名に取り組み、25000名余りの署名を日弁連に届けました。これに対し、日弁連会長から、2003年11月17日、「法律事務所事務員『全国統一研修制度』については、将来的にこれを設ける方向とし、具体的な制度設計はパラリーガル認定制度についての会内議論をふまえて検討を続けることとしつつ、当面、部分的にでも研修のモデル・カリキュラムを作成する等して全国的な研修レベルの引き上げを図る。」との回答が出されています。
私たちは、今回、日弁連より公表された「提言」を、こうした日弁連会長からの回答の延長線上のものとして、「全国統一研修制度」の実現に向けた第一歩であり、さらには、そこにとどまらない法律事務員を巡る「制度」整備の一環として積極的に受けとめております。
そうした立場を踏まえて、私たちの見解を明らかにするものです。
2 「提言」に対する評価
今回の「提言」では、この制度の必要性について「弁護士業務の改革は、社会の多様化、迅速化。高度化に伴い社会からも強く求められているところである。そのため弁護士の執務体制の強化、専門性の強化、活動領域の拡大、弁護士へのアクセス拡充等の改革が求められている。こうした改革を推し進めるためには・・・弁護士業務の補助者たる事務職員の育成が重要課題である」として、「事務職員全体の能力を向上させるためには、一定のカリキュラムに則った効果的な研修が全国すべての事務職員に対して実施」することが臨まれると事務職員の研修の必要性を第一にうたっています。
そのうえで今回提案されている「弁護士補助職認定制度」は、「事務職員に対して、目標となる能力レベルを示して研修意欲を喚起し」「事務職員に専門的職業従事者としての衿持を与えるもので」「この制度創設によって、有能な事務職員を組織的に養成する」としています。
司法改革はその骨格がほぼ完成し、実現段階に入っていますが、その司法改革の中で残る数少ない課題が「弁護士(法律事務所)の業務能力の強化」と言われています。市民にとって法律事務所は「司法」を体感する最前線です。そこにおいて市民へ良質のリーガルサービスが供給されることこそが司法改革の主要テーマである「身近で頼りがいがある」という国民の司法への信頼感の土台を築くのであり、その意味で弁護士そして法律事務所は「司法への信頼の表玄関」とでも呼ぶべき存在だと考えます。「敷居が高い」と言われる弁護士への「アクセス障害」解消なども含め、より市民に「身近で頼りがいのある」弁護士そして法律事務所が望まれています。法律事務所は、弁護士のみによって構成・運営されるものではありません。上記のような市民の要望に応えうるリーガルサービスの提供の人的基盤として法律事務職員と弁護士がそれぞれの「パートナー」として存在し、お互いの「チームワーク」によって構成されるべきものであり、このことについては日弁連が2003年11月に開催した「業務改革シンポジウム」のテーマとして強調された通りです。
私たちはこの「要望される法律事務所像を構成する人的基盤」として相応しい法律事務職員が私たちのめざす「事務員像」であると考えます。具体的には、依頼者と弁護士が紛争解決を行っていく上での生命線ともいえる「率直な情報交換」をスムーズにする「橋渡し」としての存在であり、また、実務的には弁護士の判断と監督の下、実務経験と確立した研修の下、「手続の専門家」としてその能力と感性を研鑚し、弁護士の事件処理を円滑に進める存在と考えています。私たちは、そうした「事務員像」を正確に捉え、そのために必要な制度を確立し、環境を整備していくことが、「法律事務所改革」の重要な柱のひとつであると考えてきました。
具体的にはこれまで
(1) 「全国統一研修制度」の確立によって、全国どこの法律事務所においても「身近で頼りがいのある法律事務所」の欠かせない「パートナー」としての、一定水準以上の能力(業務能力・一定水準の法的知識・倫理観の保持)を持った事務職員をつくり出すこと。
(2) そうした頼りがいのある「パートナー」として相応しい、労働条件等の処遇の改善が必要であると考え、その立場から日弁連にも要請を行ってきました。
今回の「提言」はこのような制度実現にむけた第一歩であると私たちは考え、積極的に受けとめるもの
です。
3 「認定」に対する全国の事務員の思い
私たちは、2004年夏に法律事務員の「実際行われている現場での仕事」「仕事のやりがい」そして、「なんらかの認定制度に対する思い」などを把握するためのアンケートに取り組み、全国から500を越える回答を集めました。
この中で、「認定により職業の社会的認知があがる」「国民ひいては自らに対して仕事に対する客観的能力を置くことができる」などといった積極的な期待が多数あるのとともに「認定」に対する「不安」もまた存在しています。
具体的な「不安」の中身としては、「認定ができることにより職場がどうかわるのか」「どういったものが出来るのか」といった漠然としたものとともに、「認定制度によって、『認定された者』『認定を受けない者』間での格差が生まれるのではないか」といった声も聴かれます。
今回の「提言」に関して、弁護士補助職認定制度推進小委員会(以下、小委員会という)では「懇談」という形で数度に渡り私たちとコミュケーションをはかり、「現場の事務員の意見」を積極的に捉えていこうとされ、私たちと忌憚ない率直な意見交換が図られました。また、小委員会の委員には、一昨年、咋年と法全連全国交流会において「特別講演」という形で「提言」の理念や具体的内容について詳細な説明を頂き、多くの事務員が「提言」に対する理解を深め、積極的評価を持つに至っています。
日弁連がこれから具体的に制度設計を進めるにあたり、上記のような形を含めて今後とも多くの法律事務員の意見を募り、それを吸収していくことこそが、多くの事務員の不安をより解消し、制度の定着に寄与するのではないかと考えます。
4 さらによりよい制度とするために
以上、「提言」は、その内容において大きく前進したものと高く評価しています。また、小委員会では、今後の研修内容、講師の選定など、具体的な運用場面での事務職員の積極的な関与も求めています。私たちは、大きく前進した制度内容と、よりよい制度づくりへの協働の姿勢を積極的に受けとめたうえで、今後の制度具体化において次のような点について検討されれば、より一層制度に対する信頼が増すのではないかと考えています。
一つは実施運用についてです。この制度の定着のためには、多くの法律事務員がこの認定制度を利用することが求められると考えます。
それには「制度利用のためのアクセスのよさ」が不可欠です。私たちの職場は多くが女性であり、家事や子育てと両立させつつ有能な法律事務員として活躍している方が多くいます。また都市部だけでなくいわゆる「過疎地」で研修がきちんと受けられない事務職員もいます。これらの法律事務員を視野に入れるとき、研修及び試験実施においての丁寧かつ柔軟な運用が必要であると考えます。具体的には弁護士会連合会毎に複数の開催地を設ける、回数を複数とし、日程調整を容易とさせること等です。これについては全国に存在する経験と能力豊かな事務職員の積極的活用を図ることで物理的な解決は可能であると考えております。
もう一つは、「議論及び制度の周知徹底」という面です。
旧提案以来、私たちは全国の仲間にこの議論への参加を呼びかけていますが、大都市圏以外の部分ではまだそれが浸透していないのが実情です。弁護士に関していえばほとんどの弁護士が議論の存在すら知らないというのが実情でしょう。「全弁護士を対象にして広報を行う」と言われていますが、これを弁護士及び法律事務員に広げ、議論の高まりと周知徹底を図る必要があると考えます。また、私たちも各地域において様々な工夫で多くの仲間にこの問題を広く知らせていく努力を行っていきたいと考えております。
私たちは、これらのことも含めてこの「提言」の具体化にあたっては研修カリキュラムや講義要綱作成などについて法律事務職員と協議しながらすすめていくことが、この制度をよりよい制度にしていくために不可欠であると考えるものです。
5 まとめ ―ともに制度をよりよいものとするために―
2000年に実施された日弁連・法律事務所実態調査では10年前(90年)と比べて勤続3年未満の職員が42%から31%と減る一方、勤続7年以上の職員が23%から35%に増加しています。少しずつではあっても、法律事務という「職」が社会的にも認知され、この仕事に魅力を感じ、一生の仕事として向き合おうとする多くの法律事務員が生まれています。
そうした事務職員の能力向上を図るため、現在、多くの地域で弁護士会との共同を含めた形で業務研修が取り組まれており、多くの仲間が参加しています。東京、大阪では弁護士会が実施する研修のカリキュラムの策定委員及び講師として多くの事務員が参加し、毎回多くの幅広い層の事務員が参加しています。
全国の「法律事務職員」が意識の上でも、また実際の取り組みの中でも自らの仕事に対し「誇り」を持ち、「成長」したいと考え、行動しています。
そうした想いを考えるとき、日弁連が「提言」を発表し、法律事務員に光を当て、その能力の向上と活用を目指そうとしていることを、私たちは改めて歓迎し、敬意を表するものです。
今回の「提言」は、基本的に私たちの意見が反映され、現実的な構想と言えるものであると考えております。また、先にあげた改善点はいずれも経験ある私たちの仲間と日弁連(単位会)との緊密な連携のもとに解決できるものであると考えます。
日弁連におかれては、本制度の確立とあわせて、引続き基準研修(統一研修)をはじめとする法律事務職員に関する問題について、私たちの声を聞き、共同して法律事務職員の諸課題に取り組んでいただくことを要望するものです。
とりわけ研修についてはカリキュラムや講義要綱などについて事務職員と協議する場を設けることが、今回の「提言」充実のためには欠かせないと考えるものです。
以上
パラリーガル認定制度創設に関する提言(案)⇒PDF形式全文
日本弁護士連合会 2004年11月29日
☆本提言等は2004年12月14日、日弁連より法全連、全法労協に交付・公表されたものです。
日弁連「パラリーガル提言」に対する見解 ⇒ PDF形式全文 法律事務員全国連絡会
全国法律関連労組連絡協議会 2004年12月
パラリーガル問題Q&A−その2−
2004.11 全国法律関連労組連絡協議会幹事会
昨年11月に鹿児島で開催された第13回日弁連業務改革シンポジウムの第一分科会で、日弁連業務改革委員会で検討しているパラリーガル制度の話がありましたが、その後どのようになったのでしょうか。
日弁連業務改革委員会は今年1月に「パラリーガル答申」に基づく「提言案」等(旧パラリーガル)を日弁連執行部に提出し、その成立をめざしましたが、日弁連執行部は業務改革委員会に再検討を求め、その結論は今年度に持ち越しとなりました。それをうけて日弁連業務改革委員会は従来のパラリーガルプロジェクトのメンバーを補強し、新たにパラリーガル認定制度推進小委員会(小委員会)を設けて議論をおこなっています。
小委員会ではどのような議論が行なわれているのですか。
5月17日に全国法律関連労組連絡協議会(全法労協)と法律事務員全国連絡会(法全連)の代表が日弁連業務改革委員会のメンバーと懇談しましたが、その席上で日弁連業務改革委員会は旧パラリーガルが成立に至らなかった要因として@大きな単位弁護士会のなかに反対があったこと、A非弁につながる懸念の指摘があったこと、B事務職員が反対したことをあげました。小委員会は検討の結果、制度案に事務職員の声を反映させるために8月31日に全法労協や法全連などとの懇談を行いました。
その結果、どのようになったのですか。
まだ正式な案は発表されていませんが、8月31日の懇談とそれをふまえた議論で業務改革委員会が考えている構想は、現在法律事務所で働いている職員(ならびにこれから働こうとするもの)に研修と試験を行い、試験合格者に「日弁連認定パラリーガル」の称号を使用できるようにするというものです。
それは旧パラリーガルとどこが違うのですか。
旧パラリーガルは一定期間法律事務所に勤務したもので一次試験に合格したものについて研修を行い、終了試験に通ったものを「日弁連認定パラリーガル」と称することができるようにし、弁護士の監督指示のもとに一定の裁量を伴う業務が行なえるようにするというものでした。これは、いわば本来弁護士が行なうべき業務を特定の法律事務職員に下請けさせることができるようにしようというものです。 これに対し現在検討されているパラリーガル構想(新パラリーガル)は事務職員の資質と能力向上に資するために作られようとしている制度です。 パラリーガル像についても、小委員会では法律事務所の手続的周辺的業務に精通した存在として位置付けており、弁護士の中核的業務の下請的存在の旧パラリーガルから方向転換をしています。
新パラリーガル制度の概要を知りたいのですが・・・
日弁連認定パラリーガルは、研修の受講と能力判定試験の合格を経て、試験合格者と雇用弁護士が共同して認定申請をすることになっています。研修は2年以上の実務経験があればだれでも受講でき、試験も受けることができますが、パラリーガル認定には雇用弁護士の同意が必要となります。なお、構想では、認定パラリーガルは「単に称号の付与にとどまり、新たな資格を付与するものではない。(だから)事務職員としての職務範囲に何ら変わりがなく、新たな権限を付与するものではない」と説明されています。また研修については、研修カリキュラムなど具体的な案はまだできていません。能力判定試験の内容、レベルも未定です。
新パラリーガルについて、どのような意見がありますか。
新パラリーガル構想については、@パラリーガル像を「弁護士の中核的業務の下請け的存在から手続き的周辺業務に精通した存在」に方向転換したこと、A研修による事務職員の能力向上を目的にした「職員養成型」の制度であり、誰もが受講・受験可能な制度になっていること等、旧パラリーガルに比べると事務職員の意見が反映された内容となっていると評価する声が多いようです。また、認定パラリーガルの称号によって社会一般に職種・職業分野として知られること、認定を受ける努力が評価されて待遇の向上・改善につながるのではないかなど認定制度を評価する声もあります。一方、認定の有無によって職場の労働者間に賃金や責任に格差が持ち込まれるのではないかという不安の声もあります。また全国統一の研修制度が整備されないなかでの研修は、当面、大都市圏に偏るのではないかという不安や、事務職員の研修が雇用弁護士に義務づけられない限り研修受講の機会均等が保障されない可能性があり、自分が認定を受けられる条件がつくれるのか不安だという声もあります。
全法労協は認定制度についてどのように考えているのですか。
認定制度については賛否に関していろいろな意見がありますし、現時点で結論をどちらかにまとめられないと思います。したがって全法労協として認定制度について賛成、反対いずれの立場も決めていません。しかし、新パラリーガルは法律事務職員の研修とリンクした制度設計となっており、私たちが求めていた全国統一研修制度実現にむけた大きな一歩であり、ひいては法律事務労働という職業の確立にもつながるものとして評価しています。認定制度についての賛否両論、賛成にしろ反対にしろ事務職員の期待と不安の内容は個々のおかれた職場環境などにも大きく左右されます。しかし、認定の有無だけが職場での待遇や格差につながるものでもありません。格差を是正し労働条件の向上・改善を図っていくのは労働組合の任務です。現在でも「事務長」「秘書」「会計」などの職種が存在している事務所が数多くあります。そのなかで処遇について差別をさせないために労働組合を作り、職場で仲間が団結してがんばっているのです。パラリーガル制度ができても同じような運動は引続き必要なことです。
パラリーガル問題について、今後、全法労協はどのように運動していくのですか。
旧パラリーガルから新パラリーガルへの前進を評価しつつも、私たちの要求を実現していくために不十分な点については意見を言っていきます。たとえば、パラリーガル研修の受講要件が勤続2年以上と考えられていますが、では就職してから2年間の教育・研修をどのようにするかということも重要な課題です。ただ、この点が不十分だから問題があるとか、反対だとかいうのではなく、たとえば研修制度であれば、すでに東京や大阪などで系統的に行なわれている研修会のカリキュラムなど私たちが努力して作り上げてきたものがありますから、それをもとに「全法労協ではこのように考えている」というように具体的な案を日弁連に示しながら具体化を求めていくような運動が必要ではないでしょうか。また具体化にあたって事務員の参加を求めていくことも必要なことです。 私たちは法全連と共同して全国統一研修制度の実現と職場としての法律事務所確立を求めて日弁連に対して署名活動を行ないました。 全法労協はこの署名に寄せられた声を実現することが何よりも大切であると考えています。そのなかで研修制度とリンクした日弁連業務改革委員会のパラリーガル認定制度案は私たちが長年要求してきた「全国統一研修制度」実現にむけて大きな可能性が開けるものであり、その実現のために私たちの一層の運動が求められるところです。また、全国には数万人の事務労働者がいます。どんな制度であっても、それは、すべての法律事務員にかかわることですから、新パラリーガルについて多くの人と議論し、意見を聞いていくことが大切です。各地の労働組合でもそういう観点で組合内外で議論の場を持っていただきたいと思います。その議論を実りあるものとするために全法労協幹事会は法全連と協力していきたいと考えています。そして全国の仲間の一致した力で一日も早く法律事務員の「全国統一研修制度」を確立させ、労働条件などの職場環境についても日弁連と全国の法律事務労働者が一緒に改善していけるよう運動をすすめていきたいと考えています。
各地の取り組みをご紹介!全法労協だより第50号より抜粋
■大阪法労(大阪法律関連労働組合)
昨年12月7日と1月25日の2回にわたり、大阪法律関連労組は法律事務職員研修世話人会と共催で「日弁連認定パラリーガル構想を聞く会」を行い、日弁連パラリーガル制度推進小委員会の白根弁護士から今回の構想について聞きました。
参加者は2回で延べ40名以上で、構想に対して期待とともにさまざまな疑問も出されました。
参加者のおもな意見は次のようなものです。
「研修の内容についてはこれからの様ですが、大阪弁護士会の『法律事務の手引』を習熟することができればりっぱな事務員であると思います。その内容にそって研修をしていただければと思います。」
「以前考えていたパラリーガルというものとは少し違うなと感じました。以前考えていたのは、今日の話で言うミニ弁護士?というものだと思います。でも、法律事務員の能力向上という点では(今回の構想は)とても良いことだと思います。」
「どのようなメリットがあるのか期待して聞きにきてしまったので、余計に漠然とした制度だな・・という印象が強かった。しかし、早期に制度をたちあげ、周知徹底をはかることによって充実したものになっていくのだと、まさにこれからの制度だと感じました。」
「認定制度に対する事務職員の期待が大き過ぎて、弁護士の事務職員への認識と隔たりが出るような感じが見受けられると思います。」
「実際に導入されても各弁護士の判断にまかされるのなら、パラリーガルの認定を受けてもあまり意味がないのでは・・・」
「弁護士にも認知してもらえるように努力していただきたい。」
「『登録』制度にする案が出ているようですが、どうしてもその意義がわかりません。認定だけで十分ではないでしょうか。」
「土日8時間を3週=24時間ということでしたが、平日も入れて弁護士に勤務時間内(もしくは仕事後の時間を入れるか)での研修をすすめるというのは無理なのでしょうか。試験は土日としても・・・」
「一般事務や依頼者からの相談、予備的聞きとりなどについても実技研修等を充実させてほしい。」
「パラリーガル認定の申請は弁護士の同意がなくても事務職員が単独で行えるようにしてほしい。」
「構想の進展を事務員向けに発信する場、意見を聞く場を常設していただければと思います。」
「委員会レベルの話は事務員が知る機会が少ないので、このような構想を聞く機会を設けてもらえるのは大変ありがたいと思います。」
組合ではこれらの意見もふまえて今回のパラリーガル構想に対する見解を発表し、さらに多くの労働者の声を聞き、制度に反映させていきたいと考えています。■神奈川・法律合同分会(全労連・全国一般神奈川地方本部法律合同分会)
12月4日、「『日弁連パラリーガル構想』を考えるつどい」を未組織3名を含む36名の参加で開催しました。講師は日弁連パラリーガル小委員会委員の澤田久代弁護士にお願いしました。日弁連「新パラリーガル提言」の公表直前でしたが、その内容にも触れるかたちで説明と討論がされました。
討論では、事務員の意見の反映への意見、認定方法への疑問、具体的な研修内容への質問、パラリーガルが事務員の働き甲斐にどう結びつくのかの意見などが出されました。総じて、諸手を挙げての賛成ではないものの評価すべきという意見が大勢でした。しかし、せっかく導入されるのならば全事務員の利益に結びつくものにしたいというものでした。
「旧パラリーガル提言」そのものは、組合員には全文を提示しましたが周知徹底までには至ってはおらず、未組織にはダイジェスト版を配布していただけでした。ですから、この「つどい」をキッカケにして「提言」を知らしめ、考えてもらおうと企画したものです。弁護士会にも協力を要請し、初めてメールボックスの使用も許可されました。今後も、新「提言」の周知徹底と討論が求められています。
なお、この「つどい」は組合結成35周年記念行事の第1弾として取り組まれたもので、第2弾として3月12日に「レセプション」を開催しました。
各加盟組合オフィシャルサイトの特集ページをご紹介します☆
法律会計特許一般労働組合の特集ページ
⇒http://www5a.biglobe.ne.jp/~houkairo/paratokusyuu.html
東海地域法律関連労働組合の特集ページ
⇒http://www.aba.ne.jp/~tlu/paralegal.html
大阪法律関連労働組合の特集ページ
⇒http://osk-hourou.or.tv/topics-1.htm#para